「しゅうなん」ってどんなところ?
住んじょる人の声
中村 俊彦さん・美江さん
■ 中村 俊彦さん・美江さん
平成2年にデザイン事務所「ナカムラシュングラフィック工房」をご夫婦で設立され、平成24年3月に東京から周南市鹿野へ移住。現在はwebを中心に制作されています。
鹿野に移住されたきっかけは何ですか?
首都圏でWebデザイン制作の会社を夫婦でしていたのですが、以前から田舎暮らしをしたいと家族で話しており、長いスパンで全国各地の物件を探していました。2011年の大震災がきっかけで、それが少し早まった形です。夫が美祢市の出身で、常々「山口はとてもキレイな場所。山口の自然が生み出す美しさで、自分の根底となる色彩感覚を養った」と話しており、山口県は視野に入れて物件探しをしていました。
物件を決められたポイントは?
その頃は震災の影響で、空き家バンクに登録されている物件の見学者が続出していました。正直言うと、私達が見学に行くタイミングで、ちょうど内覧できたのが鹿野にあった物件です。見て、即入居を決めました。夫婦2人と5人の子どもたちが住める広い家で、お手頃な家賃で、畑が付いている、という私たちの欲しかった条件が揃っていたので。でも今、考えれば、もう少し吟味するべきだったかなと思うのですが…(笑)
どういったところが、もう少し吟味するべきでしたか?
特にリサーチをせず、里の案内人も通さずに決めてしまったんです。7年も使ってなかった家だったので、想像していた以上に家が傷んでいて、引っ越してみると、虫だらけで子どもたちは唖然としていました。畳がないまま入居することになってしまいましたし、浄化槽もなく、ケーブルテレビをひくまでに1ヶ月半かかるとのことで、テレビもないまま…。最初はサバイバルでしたよ。大家さんが地元にいないことで、雨漏りなどの問題があっても、なかなかコミュニケーションが取れないのも問題でした。でも、徐々にそのカルチャーショックも楽しめるようになり、夜空の星やホタルなどが本当に美しくて、家族みんなこの地に惹かれていきました。長女は「天然のカエルに初めて会った」なんて喜んでいましたが、カエルを“天然”って…(笑)あ、でも夫が一番、川や山での遊びに夢中になっていましたね(笑)
徐々に鹿野の地を楽しまれていったんですね?
そうですね、美しい自然に惹かれたのももちろんですが、人がとても温かく魅力的です。私たちが家のことで困っていると、みなさんが心配して色々と協力をしてくれました。結局、最初に住んだ家から現在の家に引っ越したのですが、今の家を見つけてくれたのも、地域の皆さんたちです。東京にいると、いい意味でも悪い意味でも毎日がアミューズメントパークのようで、私はいつも人と比べられる世界の中で生きている気分でした。それがこの地に来て、人間が本来持っている大切な「人間力」はもっと他にあると、思い出させてくれました。古くから田畑を守って来た人たちのルーツがあって、季節毎の段取りや自然との共存の知恵が満載で、農家の方の持っている知識は、ものすごい情報量だと関心しています。“儲ける知恵なんて重要なことではない、人間力を生かせる場所だ”と思いました。本当に気づきの多い日々で、住むほどに好きな場所になっています。地元の人がそんな地元の良さに気づいてないなと思う時もあるので、本当に素晴らしい場所なんですよっていうことを伝えたいです。
鹿野の方との交流はどうやって深めていきましたか?
最初は地域の飲食店に食べに行ったりしたでしょうか。それから徐々に、地域の草刈りや、子どもの学校の役員、婦人会、あと地元の劇団など、私ができるところは、できるだけ参加させてもらいました。人と会うことがとにかく好きなんです。「かの市」というおまつりがあるんですが、その時は主人や娘も似顔絵書きとしても参加して…。私たちの場合は自分の仕事を生かして、デザインやイラストのお手伝いをすることができますので、みなさんがお野菜をお裾分けしてくだされば、私はチラシ作成などの得意分野でお返し…といった形で、とても楽しくコミュニケーションをとらせていただいています。
お仕事の内容は、移住前からと変わりはありますか?
もともとインターネットを介しての仕事がほとんどでしたので、内容は基本的に変わっていません。もちろん、顔を会わせて打ち合わせが必要になるお仕事は難しくなりましたが、その辺の、ある程度の収入減は覚悟してきました。その分家賃は格安になりましたし、畑を作ってお野菜を育てたりもしました。
鹿野の好きな場所はどこですか?
いっぱいありすぎますね。日の出時に、朝霧から虹がかかる光景をよく目にします。その美しい光景が、どこの場所からでも見ることができ、どこもかしこも本当に素晴らしい場所です。
これから移住を考えている方へのアドバイスをお願いします。
家を借りるときは、その地と繫がりを持って、よく情報を得た上で移り住んだ方がいいと思います。私達は家のトイレの水回りなど、本当に苦労しましたから…(笑)現代はプログラマーなど、私たちのようなWeb関連の仕事している方はどこでも作業はできますから、そういう方にこういった自然豊かな場所へ移住するのもお勧めだと思います。
~事務所情報~
ナカムラシュングラフィック工房
住所 周南市大字鹿野上2902
tel 0834-68-1575
ナカムラシュングラフィック工房
住所 周南市大字鹿野上2902
tel 0834-68-1575